11月も下旬、さすがに寒くなってきました。桜はすっかり葉を落として裸の枝を露出しています。訪れる野鳥はヒヨドリくらいですが、もう枝葉が邪魔しないのですっきり全身を見ることが出来ます。
里ではもう色づいている木々もあるのですが、周りの山々を仰いでみると、まだぼけた写真みたいにコントラストが弱く、色のグラデーションもぼんやりしています。山肌が鮮やかに色づくにはもう少し時間がかかるようです。
9月でしたか10月でしたか、日曜の朝、チャンネルを移動させていたら「所さんの目がテン」という番組がレコードを取り上げていたので見てみました。残念ながら番組冒頭は見逃してしまったのですが、街頭インタビューでレコードを持っている人たちを探し、持っている人を見つけてはプレーヤ持参でその方のお宅を訪ねたりしていました。
ほとんどの方が中年以降の方でしかも、レコードを持っているけれどプレーヤーはもう無いという人たちでした。そこで番組スタッフがその方のお宅にレコードプレーヤーを持参し、しまい込まれていた懐かしいレコードを演奏するのです。確か画面に映っていたのはDENONのDP-500Mだったのではないかと思うのですが、ちょっと突っ込みを入れたくなりました。

DENON アナログレコードプレーヤー 木目 DP-500M
- 出版社/メーカー: デノン
- メディア: エレクトロニクス
蓄音機ならいざ知らず、レコードプレーヤーはそれだけでは音が出ません。当然その家にステレオ装置があることが前提です。しかも今のCD中心のステレオセットだと、イコライザーを搭載していないものが多いので、その場合はプレーヤー以外にフォノイコライザーも必要になります。
この日の話題はレコードであって、オーディオではないということでしょうか。番組の中のレコードプレーヤーは視聴者にわかりやすいように象徴的な意味合いで登場していたのかもしれません。
番組ではいろいろな実験をしていました。たとえば10人ほどのモニターを集めて同じ音源のレコードとCDを聞かせてどちらの音が優れているかブラインドテストしていました。
結果は10人中7人がレコードの方が音がよいと判断していて意外に思いました。今の若い人ならCDに慣れているのでそっちを取るかと思ったのですが、やはりレコードの音の方が臨場感があると言う感想でした。
では、なぜレコードの方がCDより音がよいのか、番組では科学的に検証をすすめました。CDとレコードの音の波形を比べて、CDでは人の耳では聞こえない高い音がカットされているが、レコードの音はより原音に近い波形になっているということでした。
なんだか今更と言う気もするのですが、レコードを知らない若い人たちには説得力のある情報なのかも知れません。その後、若い人にレコードのシングル盤(いわゆるドーナツ盤)を正しく演奏出来るかどうか実験していましたが、10人中演奏出来た人はなんとゼロでした。
コマーシャル入り30分の番組でしたから内容自体は通り一遍のものでしたが、なぜ今更テレビ番組でレコードを取り上げたのかと思ったら、最近またレコードが注目を浴びているのだそうです。
それにしても青春時代をレコードとともに過ごしたお父さんお母さん、レコードプレーヤーがすでに無いにもかかわらず、大事にレコードをしまっていると言うのが面白かったですね。インタビューを受けていた人は女性より男の人の方が多かった気がします。
私はと言えば、番組を見るまでもなくレコードの音に軍配を上げている一人なのですが、それでも音楽を楽しむためにはCD、レコード、デジタル音楽などを使い分けて聞いています。それぞれ特徴があるので優劣をつければよいというものでもないと思います。だたこの間、真空管アンプでレコードを聞いたあとからCDを聞いたら、やはりCDの方が音が硬いなとは思いましたね。これまた今更の感想なのですが。
最近のレコードとのおつきあいは、前回お話したいただき物のレコード、せっせと磨いている日々です。保管場所が悪くてどうしようもなく傷んでいる物を除くと、黴自体はそれほどひどい物はありませんでした。
では、どのように磨いているかと言うと簡単に説明してみます。私の場合あまり神経質ではなくざっとした感じです。
まず、古いレコードプレーヤーのゴムマットを敷き、その上にきれいにするレコードを乗せます。レコードプレーヤーの上に乗せて作業しても良さそうに思えますが、拭き取ったり磨くとき力を入れるのでプレーヤーの軸受けに悪影響を与えると思います。
これはいただいたレコードではなく、以前から所有している私のレコードです。長い間演奏せずにしまい込んでいたので、黴だらけ、説明のために引っ張り出しました。黴、汚れわかるでしょうか。
濡れたガーゼで盤面をごしごしとしごくように汚れ、黴を拭き取ります。これで目に付く汚れ、埃、黴などはあらかた取れてしまいます。作業した直後、水滴と拭き取った跡が光っていますが傷ではありません。
100均で買った皿立てに立てかけて乾燥させます。このとき、ちゃんと乾燥させないと、黴の元を作っているだけになりかねません。
ガーゼで拭いただけでも目立った汚れは取れますが盤面は鈍く光るだけです。このまましまい込んでも良さそうですが、また黴が生えそうな気がします。それでバランスウォッシャーのA液で磨き、B液で後処理すると、盤面に艶が出ます。ただきれいになるだけではなくて、埃や黴の予防にもなるような気がします。
十分乾燥させたレコードを再びゴムマットの上に置いて、まずバランスウオッシャーA液を盤面に数滴垂らして、ビスコ33で磨きます。一応レコードの回転方向に動かしています。
次にバランスウオッシャーB液をやはり盤面に数滴垂らして、今度は先ほどとは反対方向にビスコを動かします。ビスコは当然A液用とB液用で使い分けています。
艶が出て新品のようにぴかぴか光ります。写真ではわかりにくいかも知れませんが黴や埃はすっかり取れているように見えます。もっとも盤面に元々着いているひっかき傷、こすれた跡、シミなどはこの処理をしても消えるわけではありません。ただ、処理したあとで聞いてみると、ノイズが心なし軽減して感じられる気がしますし、傷によっては演奏にほとんど影響を与えない物もあります。
処理後、新品のように艶が出てぴかぴかになりました。これをA面、B面と処理します。
せっせと磨き続けた結果、いただいたレコード、もうこれだけ揃いました。磨いて乾かした跡、必ず一度演奏します。普段あまり聞かない音楽との出会いを楽しめます。
演奏が終わったら新しい内袋に入れてジャケットに納めます。新しいナイロン袋に包んで棚に立てかけて終わりです。まだ、いただいたレコードは私のレコードとしてはなじんでいないし、区別を付けるために普段のコレクションとは別の場所に置いています。
今日のKはKenny Burrell(ケニー・バレル)です。この人もいろんなセッションに顔を出していますね。若い頃よく聞いたのがKenny Burrell&John Coltraneでした。その中から今日は「Freight Trane」
この記事へのコメント
cafelamama
A液、B液の使用で、見違えるほど盤面がきれいになるんですね。
僕は、スプレーをかけ埃をクリーナーで雑にふき取っていただけでした。
レコードに対する愛情の違いですね。
CDとレコードの音の違いの話とはちがいますが
僕は悪いスピーカーで音を判断していました。
CMを作る際、音楽や台詞、効果音をミックスしていく作業が最後にあるんですが
僕は最終的なミックスをラジカセに出してもらいそれを聴いてミックスのOKを出していました。
スタジオのスピーカーだと、音質が良すぎて、どんなミックスでもいい音に聞こえてしまうからです。
テレビは、どこの家もあまりいい環境で視聴しているわけではないので、
スタジオのスピーカーで聴こえていた音が、テレビになると聴こえなかったり、音楽が立ちすぎて台詞やナレーションが聴き取れなかったりすることがよくあります。
だから、残したい音やナレーションが、劣悪な環境下でも、しっかり聴こえるかどうかにばかり気を遣っていました。
ケンタパパ
私も中学生ぐらいまではレコードを聴いてましたが、いまと違って音楽を聴く手段が限られていたので、随分レコードやオーディオに有難味を感じていたものです。
日常の雑多なことを忘れて、まったりとレコードを聴きたい、という人は私も含めて結構いると思います。
himanaoyaji
レコードプーヤーはDP-3000、3~4回修理にだしましたけど現役で頑張ってますよ、p(^-^)q
takenoko
たいへー
録音されているらしいのですが、
針がレコードと接触する過程で発生するノイズが、
カットした域の音のようになるため、
聴き心地が良いのだとか・・・レコード再生って素晴らしい。^^
駅員3
僕が若い頃汚れのひどいレコードは、木工用ボンドを水で薄めてパックすると良いといわれて、やったことがあります。
そらへい
こんにちは
誰でも最初はスプレーですよね。
私も使っていましたが、オーディオ誌で
レコードにもカートリッジにも良くないと聞いてやめました。
その後、水洗いなども試してみましたが、よく乾燥させなかったので
かえってノイズを増やしてしまったこともあります。
今の方法にたどり着いてまだ10年も経っていないような気がします。
CMでのモニタリングをわざとラジカセでされたというのは面白い話ですね。
音が良ければ良い、映像が良ければ良いと言うわけではなくて
全体のバランス、目的に合致しているかどうかが重要なんですね。
CMという世界の、別の意味での厳しさを感じるお話です。
そらへい
こんにちは
そうですね。単に音楽を聴くと言うだけなら、
こんなまどろっこしい事はしないので、持つ喜びのようなものがあるのかも。
かつては音楽を聞くと言えば、レコードかテープだったのに
今はずいぶんいろんな手段が増えたものですね。
お気に入りのシンプルなステレオ構成で
ゆっくりレコードを聞くのが一番かもしれません。
そらへい
こんにちは
私も普段は、演奏前にクリーナーで盤面を掃くだけです。
あまり聞いていない古いレコード、たまに出すと黴が生えていたりするときだけ
このような処理をしています。
DP-3000は我々世代の名器ですね。
今でもオークションに出品されて、そこそこの値段で取引されているのでは。
そらへい
こんにちは
レコードを保管していて、捨てられない。
たまには聞きたいと思われることもあるのでしょうが
レコード再生、再開するには敷居が高いですよね。
日本中の中高年のお宅には
お宝のレコードがまだまだたくさん眠っているようです。
そらへい
こんにちは
カットの領域がCDの方が潔すぎるようですね。
>針がレコードと接触する過程で発生するノイズ
いかにもアナログ的でいいですね。
真空管アンプにしてもレコードにしても
アナログの曖昧さが帰っていい雰囲気を醸し出している気がします。
そらへい
こんにちは
手軽さと引き替えにするものは大きかったということでしょうか。
ボンドの話、聞いたことがあります。
また、昔そのようなフィルムを製品化したものがあったような気がします。
あと、粘着性のテープをローラに巻き付けて埃を取る
いずれもレコードに残留物が残りそうで試していません。
yoko-minato
みがくものも買ってレコードをきれいにしました。
今は叔母の家に行ったきりですがたまに聴きたく
なりますね。
そらへい
こんばんは
そうでしたね。
あの時は大変でしたが、今は叔母さんのところで
ゆったりした時を刻むように回転しているのでしょうか。
yoko-minatoさんもまた聞けるといいですね。
プリウス
お好みのレコードが元気に鳴り響くためには、クリーニングが基本ですね!!
・・・その点、、、手抜きの自分は、洗剤+ブラシでお終いです。。。
新しい感動と巡り合うために、、、100円レコードから探索継続中です!!(笑
そらへい
こんばんは
洗剤+ブラシでも良いと思いますよ。
ただ、洗剤が残らないことと
乾燥が大事だと思いますが。
道のレコードに出会える楽しみがありますが
あまりにも手広くなってしまいましたので
クリーニングして整理整頓したいと思ってます。
yukky_z
私は古いレコードばかり収集しているので、買ったばかりのレコードの
手入れ中に、たまにレコード溝から、レアな泥状のゴミが浮かび
上がることも有りましたよ^^;
夏炉冬扇
コレクターですね。
秋景色。引出もいいです。
そらへい
こんにちは
yukky_zさんもバランスウォッシャーお使いでしたか。
古いレコードには効果抜群ですね。
心なしか、処理すると音もクリアになったような気がします。
汚れすぎたレコードには、バランスウォッシャー使う前に
濡れたガーゼで一拭きも効果的かも。
そらへい
こんにちは
今日は風も無くて暖かかったですね。
コレクターと言うには、雑多な蒐集なのですが
チリも集まれば何とやらです。
めい
昔のものは良いものが多いですね
レコードが今見直されているのもうなずけます
レコードのお手入れさすがです
大事になさってレコードも本望だと思います^^
タックン
冬が来たことを実感しました。
押入れの奥のレコード どうなっているかなと
そらへいさんの記事を読んで思いました^^
取り出したら 一枚一枚の思い出に浸って
何も出来なくなりそうです^^
そらへい
こんばんは
レコードよりCDの方が音がよいと思う原因のひとつは
多分、ノイズが少なくて、音がすっきり聞こえるからだと思います。
時代はどんどん進んで新しくなっていきますが
単にノスタルジーではなく、古いものが見直されるというのは
いいことだと思います。
大事にと言うかいい音で聞きたいと思うと、
こういう手間も少し必要になってしまいます。
sarusan
これからも宜しくお願いします。
そらへい
こんばんは
もうツグミですか。
私たちのところでよく見かけるのは年明けから晩冬にかけてです。
草原、冬の日差しの中でゆっくり日向ぼっこをしている姿が印象的です。
皆さん、レコード押入れの奥にしまいこんでおられるのですね。
そのどれにも一つ一つ思い出が詰まっていて、まさにアルバムですね。
「ただ一度だけ」もその中にあるのでしょうか。
そらへい
こんばんは
30,000niceおめでとうございます。
すごいですね。
私は6年余りかけてやっと8000台です。
こちらこそこれからもよろしくお願いします。
song4u
そもそもここまで徹底してやっておりませんでした。
中性洗剤で洗って、軽くすすいで終わり!
・・・なんて、そんなの恥ずかしくて言えません。(汗)
そらへい
こんばんは
レコードのクリーニング方法は、昔からいろいろあるようですね。
私もバランスウォッシャーを知ったのは、
オーディオ、アナログ再開してからです。
中性洗剤で洗われているのは良いと思いますが
すすぎと乾燥は念入りにされた方が良さそうですね。
yu-papa
アナログプレイヤーの方が優れていると思います^^
CDプレイヤーには、楽器演奏・歌手の歌声に奥行きが有りません。
残念な事に、音響メーカーの罠にはまった感じです。
しばちゃん2cv
ん~ なんかカメラレンズの掃除と行程がよく似てるような・・・
スプレー式のクリーナーの臭いをかぐと、レコードを触っていた二十数年前を思い出します。
そらへい
こんばんは
CDとレコード、音だけで言うとそういう面もありますが
音楽を聴く手軽さ、取り回しの良さは
圧倒的にCDの方が勝っている気がします。
でもやっぱりレコードの方が好きですね。
そらへい
こんばんは
へぇ、カメラのレンズの磨きもこんな感じなんですか。
しかし、もっとデリケートでしょうね。
昔のスプレーは皆同じような独特の匂いがしましたね。
ヘアースプレーとかとも似ていたような・・・