秋が急激に進んでいくようです。彼岸花が咲いたかと思ったら、いつの間にか金木犀が黄色い小さな花を付けてあたりにいい匂いを放つようになってきました。
たしか5日の火曜日だったと思います。お昼にタモリの「笑っていいとも」を見て他愛もなく笑っていたら、エンディングでソニー・ロリンズが現れたので、腰を抜かしました。いくらタモリの番組と言っても、「笑っていいとも」ですからね、不意を打たれました。
舞台の袖から出てくる時、長身を折り曲げるようにして出てきたので、歳で腰が曲がったのかと思いましたが、ただ前かがみに歩いていただけのようで、舞台の中央ではしゃきっと立っていました。
ソニー・ロリンズはもう80歳だそうですが、小柄なタモリの横に立つと、いっそう大きく見えました。メガネをかけ、白髪の髭に覆われた例の風貌です。首からサックスを下げていたので、一音だけでも吹いてくれないか、あるいはタモリが所望しないかと思いましたが、やはりそんなことはありませんでしたね。
現在ツアー来日中、あと二日ほど残っている公演の当日売りのチケットの宣伝に出てきたようです。その残っている公演のひとつが、明日(10月9日)のNHK大阪ホールでのコンサートです。
2.3週間ほど前に、試しにネットで調べてみたら、まだチケットがあったので驚きました。S席で1万円ほど、ついポチっと押したくなりましたが、あいにく明日は、所用で出かけられません。返す返すも残念です。
ちなみにロリンズの来日は2年ぶりで、もう24度目になるのだそうです。すごい来日回数ですが、1980年代で7度目の来日を果たしているということは、残りのほとんどがこの20年間でなされていることになると思います。
ソニー・ロリンズは1930年生まれ、マイルス・デイビスやジョン・コルトレーンなど伝説のジャズ・ジャイアンツとビ・バップやハード・バップを過ごした同時代の人です。ただそれだけではなく、30歳を前にすでに彼らと伍して名声を獲得していました。1956年の「サキソフォン・コロッサス」はあまりにも有名です。
その後、彼は何度かジャズシーンから雲隠れし、ジャズを習い直しに大学に通ったり、湾岸労働者になったりしました。一見、奇異な行動にも見えますが、ただ漫然とテナーを吹いていたのでは無い、彼の真摯な姿勢が伺えるエピソードです。
幼い頃から、カウント・ベイシー等の音楽に親しんだそうですし、「plus4」や「BASIN STREET」で共演したクリフォード・ブラウンからは強い影響を受けたそうです。ロリンズの太く暖かみのある音色、メロディアスで自由なアドリブには、彼らの良い影響があるような気がします。
そんな彼が、今も現役ジャズメンとしてプレイし、来日コンサートまでこなしているというのは、ほとんど奇跡に近いことだと思います。もう彼の周りの人達はほとんど亡くなっていますし、いても現役を続けられなくなっているのですから。
明日のコンサートに行けないので、今夜は我が庵でひとりコンサートに耽けっています。プレーヤーは例によってDENONのモノラルカートリッジDL-102にMICROのMR-411、コントロールアンプはYAMAHA、C-6、パワーアンプはLUXKIT、A-3500改、そしてスピーカーはJBL 4312Dです。
まずはじめは、お気に入りの一枚です。初めて買ったソニー・ロリンズでもありました。若い頃、何度も聞きましたね。何度聞いても飽きない良さがあります。珍しいピアノレス、ワンホーンのトリオ。Contemporary盤なのでベースがレイ・ブラウン、ドラムがシェリー・マンです。ピアノがないせいで、ロリンズのプレイの魅力が最もよく出ていますし、洒落てます。この間の東京JAZZ2010でジョシュア・レッドマンがソニー・ロリンズに捧げるオマージュとして、このピアノレス、ワンホーンのトリオで演奏していました。
これはブラウン&ローチクインテットの最後のレコーディングアルバムです。隠遁生活をおくっていたソニー・ロリンズが急遽加わることになり、その後彼はクリフォード・ブラウンに感化されて、再びジャズを始めるようになったのです。他のブラウン&ローチのクインテットと比べると、ロリンズのテナーの音色の柔らかさ、アドリブの豊かさが目立ちます。もちろんブラウニーのソロは文句がありません。

a night at the "village vanguard"
ライブ盤です。拍手がたくさん聞こえて白熱の演奏と言うわけではないのですが、長く続くロリンズのソロとシンバルの音に、ライブ独特の熱気を感じますね。これもピアノレスのトリオで、ほとんどロリンズの一人舞台です。彼の即興演奏が十分に堪能できます。
Sonny Rollins & The Contemporary Leaders
「way out west」と同じくContemporaryのシリーズです。多分二枚目に買ったアルバムだと思います。こちらもそこそこ聞いていたんだと思います。久しぶりにかけてみて懐かしかったです。共演者はハンプトン・ホーズやバーニー・ケッセル、シェリー・マンなど、西海岸の有名プレーヤーたちです。
この盤は数年前に買った再発の重量盤なんですが、なんとジャケットのパーソネル欄に信じられないようなミスプリントがあります。多分再発盤だけのミスだと思いますが。
ロリンズがトロンボーンになってます。JJ・ジョンソンがアルトサックスだそうです。フィル・ウッズがテナー・・・もう無茶苦茶ですね。
若い頃、このジャケットはジャズ喫茶で良く見かけました。他にも「アルト・マッドネス」とかバトルもの人気があったように思います。このレコードも買ったのは最近です。
唯一のコルトレーンとの共演盤として有名なのですが、共演しているのはタイトルの「テナー・マッドネス」一曲だけで、あとはロリンズのワン・ホーンカルテットです。メンバーがマイルスリズム隊のレッド・ガーランド、ポール・チェバース、フィリー・ジョー・ジョーンズという顔ぶれです。
このレコードはモノラル盤なので、ステレオカートリッジで聞いても左がジョン・コルトレーン右がソニー・ロリンズという聞き分けはできません。最初にやや固めの音でソロを取るのがコルトレーン、二番目がロリンズです。ロリンズのソロはコルトレーンのあとで聞くと物足りないほど音色が柔らかくたゆたつようにうねっています。
年齢はコルトレーンの方が4つほど上なのですが、このころ、先に名も腕も上げていたのはロリンズの方でした。若くして名プレーヤーの仲間入りをしていたので早熟の天才なんでしょうね。それに比して、コルトレーンは不器用で、努力に努力を重ねてあの頂きまで上り詰めたのだと思います。
ロリンズはすでに何枚かリーダーアルバムを出し、「サキソフォンコロッサス」を発売した年でもありました。この「テナーマッドネス」を聞く限りはコルトレーンのソロは強いもののやや直線的で、ロリンズのソロは自由奔放で音楽的な豊かさを感じさせます。
最後はやはりあの有名な「SAXOPHONE COLOSSUS」です。やはり名盤と言われるだけあって、どの曲を聞いても素晴らしいですね。「セント・トーマス」などはNHKの番組のテーマなどにも使われていて、すっかり耳慣れた曲になっています。
「SAXOPHONE COLOSSUS」に限らず、ここに上げたアルバムのどれをとっても、ソニー・ロリンズの太くて豊かな音色と、自由奔放な暖かみのあるアドリブソロがたっぷりと聞けます。彼の演奏を聞いていると、ジャズは小難しいものではなく、ひとつの素晴らしい音楽であるということを知らされる気がしますね。
ソニー・ロリンズは一体どれくらいのレコードを出しているのか見当もつきませんが、私が持っている彼のリーダーアルバムはここまでです。おさわり程度なんでししょうね。あと共演盤で、マイルスの「バグス・グルーヴ」、「DIG」、そしてブラウン&ローチの「BASIN STREET」、「コンプリート・ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1」などなど。
CDでは同じく「SAXOPHONE COLOSSUS」「plus4」「WAY OUT WEST」を重複所有し「NEWKS TIME」「THE BRIDGE」「SONNY ROLLINS Vol.2」「OLD FLAMES」「ザ・ファビュラス・ファッツ・ナヴァロ Vol.1 、2」などを持っていますが、今夜はもう時間がありません。
この記事へのコメント
stone-9
彼岸花とナミアゲハのショットを撮りました。(笑)
それとソニー・ロリンズの”ALFIE”久しぶりに聴いていました。
このレコードを持っていたこと自体忘れていましたが。(笑)
パーソネルはオリバー・ネルソンが,
arr.and conductorになっているので一行ずれていますね。
なぜかケニー・バレルは合っていますが。(笑)
昔のレコードを少しづつ楽しんでいます。
Studio-Oz
彼岸花って綺麗ですよね!
又、アゲハが上手く納まっていますね。
僕も、先週末写真を撮りました。
群生している所は崖だったのであきらめ
ソロカットをカシャ!っと・・・
ベルベット
昔、ロリンズとコルトレーンの聴き比べをしましたが
個性派二人の違いを比べる事がナンセンス、別物と
考える事が答えと・・・(笑)
彼岸花、そろそろ終わりますね。
花の季節も春までお預けと言ったところでしょうか。
駅員3
見たかったなぁ
さぞや素敵なトークをされた事でしょう
そらへい
こんにちは
Alfie、正しい情報ありがとうございます。
完全に一行ずれているのでしょうね。
オリバーネルソンはテナー奏者でもあるところから
起こった間違いかと思います。
ケニーバレルが合っているのは、上と下だけ確認したのでしょうか。
再発のインパルスのジャケットも、オリジナルに比べると
少し安っぽかったですね。
ま、音楽を楽しむ分には関係ないことですが。
そらへい
こんにちは
今夏暑かったせいでしょうか
やたら蝶が多い気がします。
これも他の写真を撮っていたら、
たまたま彼岸花にとまりに来ました。
彼岸花の群生、写真で撮ると真っ赤に固まってしまって
彼岸花はソロで撮る方が良いかもしれませんね。
そらへい
こんにちは
ロリンズとコルトレーン
いろんな意味で際立って違う個性ですね。
どちらも凄い!としか言いようながないですね。
今日は雨降りですが、
今の季節晴れると気持ちよくて
秋の花のあいだを蝶が飛び交って
第二に春ではないかと思ってます。
もう少しこの季節楽しんで
次は紅葉になりますかね。
そらへい
こんにちは
「笑っていいとも」に出たのは、エンディングの一瞬
ほとんどトークの場面なかったですね。
ワンフレーズでも吹いて欲しかったところですが・・・
たいへー
一人で、好きな時間に、その世界に浸れるのも
オーディオならではの醍醐味でしょうね。
きっと目の前には、そらへいさんにしか見えない
ソニー ロリンズが演奏していたことでしょう。
yukky_z
ホント意表を突いてますね^^; 長生きして良い演奏を
どんどん聴かせて欲しいものです!
そらへい
こんばんは
80歳になられたとはいえ、伝説のソニー・ロリンズ
生演奏を聞いたら感激ものではないかと思ったのですが、
残念ながら行けませんでした。
まだまだ元気に頑張っていただいて、
次の機会を待ちたいと思います。
そらへい
こんばんは
そうですね。まだまだ元気に吹いてもらって
25回目の来日の時は、こんどこそ、生の演奏を聞きたいと思います。
しばちゃん2cv
そらへい
こんばんは
よく見てはりますね。
気づかずにアマゾンから画像借りてアップしてました。
私のレコードもシルエットです。
WAY OUT WESTはジャケット色々なバージョンがあることは何かで読みましたが、サキソフォンコロッサスもいろんなバージョンがあるみたいですね。全然違うデザインとか、シルエットの背景がブルーではなくグリーンとか・・・
おっしゃるようにシルエットではなく、写真のほうがオリジナルらしいですね。
ken
3年前にも来日して、ちょうどキースのソロコンサートとかさなった
ので誘われたのですがいきませんでした・・
いってみたいな
そらへい
こんばんは
今年もそうでしたが
前回もキース・ジャレットと同じだったんですか。
よくよく仲の良い二人ですね(笑)
コンサート、東京では何日か組まれて選ぶことができるのですが
その他の地方は一日なので、その日が都合悪いとどうにもなりませんね。
FUCKINTOSH66
そらへい
こんばんは
ロリンズの音&映像、YouTubeでもかなりありそうですよ。
タモリがロリンズを紹介するとき、「若い頃よく・・・」
あとは聞き取れなかったのですが、聞いたか、お世話になったかと
言ったのだと思います。
気のせいか握手の仕方が他のゲストとはちょっと違ったような・・・
今週末は、アット・ヴィレッジ・ヴァンガードですか。
うらやましすぎますね。
レポート楽しみにしてます。
ともちゃん
今週末から朝の気温が下がってくるようです。
秋の夜長にジャズを聴かせて頂けるとは
ブログをやっていて良かったです。
そらへい
こんばんは
コスモスはどこから切り取っても不思議と美人に写ります。
選ぶ写真に苦労します。
まるで、ともちゃんみたいでしょうか。
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