「新・エヴァンスを聴け!」

 今年は春が遅いとか、不順だとついこの間まで言っていたような気がするのですが、いつの間にかもう7月、いつもの蒸し暑い梅雨のど最中となりました。

 以前、tempoさんがブログで紹介されていた「新・エヴァンスを聴け!」ようやく読み終えました。この一月あまり、眠る前に枕元でぼちぼち読んでいたのですが、つい眠気に負けてしまうことが多く、思いの外手間取ってしまいました。

 

新・エヴァンスを聴け! (ゴマ文庫)

新・エヴァンスを聴け! (ゴマ文庫)

  • 作者: 中山 康樹
  • 出版社/メーカー: ゴマブックス
  • 発売日: 2007/12/05
  • メディア: 文庫

 

他にも、マイルスを聴け!〈Version8〉 (双葉文庫)ジョン・レノンを聴け! (集英社新書)超ブルーノート入門 ―ジャズの究極・1500番台のすすめ (集英社新書) など音楽関係の著作が多数あります。

 「新・エヴァンスを聴け!」で、紹介されているビル・エヴァンスのアルバムは187枚です。1ピアニストが出したアルバムの枚数としては凄い量ですが、その中には、ブートレグ(海賊盤)や、エヴァンスが発売を許可していなかったものや、エヴァンス没後に発掘された音源などをアルバム化したものなども多く含まれているようです。

 著者はこれらのアルバムを年代順に、音楽の専門的な分析と歴史的背景なども交えて一枚一枚、一曲、一曲丁寧に論評しています。
 
 エヴァンスの魅力はその「かっこいいフレージング」にあると言います。「ワルツ・フォー・デビー」に代表される知的でリリカル、繊細でロマンチックなイメージは、エヴァンスの一面を捉えたものでしかないと言い続けます。

 著者はエヴァンスのアルバムの中でYou Must Believe in Spring 」を絶賛しています。エヴァンスだけではなく、ピアノトリオの傑作、マイルス・デイビスにおける「カインド・オブ・ブルー」のようなものとまで言っています。私はこのアルバム持ち合わせておりませんが、一度聞いてみたいと思います。

 エヴァンスの生涯はその情緒的なイメージとは違って、ジャズや音楽に対して激しく情熱的であったと説きます。生きながらえることよりも、音楽に忠実であること、寡黙で男らしく、ハードボイルド的でさえあったと言っているようです。

 私はエヴァンスと言えば、世間のおおかたと同じく、「ワルツ・フォー・デビィ」「ポートレイト・イン・ジャズ」「エクスプロレイションズ」「サンディ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」と言った、リバーサイド四部作のイメージしか持っていなかったのですが、少し前に「The Tokyo Concert」を聞いて、あれっと思ったことがあったので、この本を読んでいくうちなるほどと思わされることがありました。

 そのことについて、詳しくはまた今度書こうかと思います。

 


追記
 誤解を招く事になってしまいました。中山氏が高く評価しているのはアルバムタイトル
「You Must Believe in Spring 」の方で、1977年録音です。
そのアルバムの冒頭がこちら「B Minor Waltz」です。

この記事へのコメント

  • stone-9

    「You Must Believe in Spring 」、
    始めて聴きましたが正直なところ驚きました。
    このような一面があることすら知りませんでした。
    2010年07月02日 23:06
  • tempo

    こんにちは、私もYou Must Believe in Springはかなり内容の良いピアノトリオだと思います。CDでもアナログでもすぐに中古で見つかると思いますよ。
    2010年07月03日 07:43
  • ぼんぼちぼちぼち

    音楽のことはよく解らないので 見当違いな発言かもでやすが
    なんか これ聴いて 計算してあえて外している という感じがしやした。
    2010年07月03日 20:35
  • 空兵

    stone-9さん
    こんばんは

    この音源は1981年になっているので、中山氏水仙の盤とは、少し違うと思うのですが、ワルツ・フォー・デビーのイメージを崩すには十分ですね。
    詳しいことはわかりませんが、エレックトリックピアノで多重録音しているのでしょうか。ビル・エヴァンスはそういう方面にも意欲がかなりあったようです。
    2010年07月03日 21:28
  • 空兵

    temoさん
    こんばんは

    CDだと新品もあるようですが、とりあえずはアナログ中古を探してみたいと思います。
    2010年07月03日 21:31
  • 空兵

    ぼんぼちぼちぼちさん
    こんばんは

    YouTubeの音源は、中山氏推薦盤とは曲名同じですが、内容は違うようですね。探したのですが、見つからなかったので同名の演奏を引っ張ってきたのですが、誤解を招きやすかったですね。
    この演奏は、かなり実験的なものなのではないでしょうか。
    2010年07月03日 21:35
  • 駅員3

    やっと、上のリンクの演奏を聴くことが出来ました。
    素晴らしいですね。
    お恥ずかしながら、今までエヴァンスとちゃんと向かい合って聴いたことがありませんでした。
    これからいろいろ聴いてみたいと思います。
    2010年07月03日 22:26
  • 空兵

    駅員3さん
    こんばんは

    楽しむ方の立場としては、無理をしないで
    お気に入りの演奏だけ楽しんでいても良いのではと思いますが、
    口当たりの良さだけで、評価してしまうのは片手落ちかもしれませんね。
    私もエヴァンスに限らず、どれだけ聞けているかなと思います。
    2010年07月03日 22:46
  • hiro1957jjj

    Bマイナーワルツは同じアルバムのMASHと並んで、わたしが最も好きな曲です。アルバムとしては、有名な「ワルツ・フォー・デビー」よりも好きで、個人的には最高傑作だと思っています。ソロのアローンもいいですが・・・・・・・(そんなに多くは聞いてませんが)
    2010年07月03日 22:58
  • 空兵

    hiro1957jjj さん
    こんばんは

    コメントありがとうございます。
    Bマイナーワルツ、YouTubeからでも
    研ぎ澄まされた感覚が伝わってくる気がします。
    2010年07月04日 00:01
  • たいへー

    かねてから名前は拝見しております。
    しかし、今だレコードを入手できないでいます。
    人気あるんですねー・・・
    2010年07月07日 16:50
  • 空兵

    たいへーさん
    こんばんは

    人気があるので、レコードもたくさん出回っていると思います。
    そのうち、中古レコードでも手に入れてください。
    187枚もあるので、迷ったときは本書を参考に(笑)
    2010年07月07日 21:51
  • Studio-Oz

    こんばんは。

    とりあえず、ワルツ・フォー・デビーからと思っています。
    スコット・ラファロのプレイに興味アリです!(笑)
    2010年07月07日 23:22
  • 空兵

    Studio-Ozさん
    こんばんは

    やはりその辺が基本、本命ですよね。
    本命を抑えないと、対抗もあり得ませんからね。
    2010年07月08日 23:21

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