8月初めのことですが、炎暑が続く中、久し振りに美術館へ行ってきました。
琵琶湖岸沿いの初めて行く美術館は水の中にありました。近代的な建物、その周りの庭にあたるところが、入り組んだ中庭に至るまで、つねに小さく波打つ水をたたえた池で囲まれていました。この周りのさざ波の池は琵琶湖をモチーフにしているのでしょうか。
特別展の葛飾北斎「富嶽三十六景」と「富嶽百景」が目的だったのですが、行ってみると日本画の平山郁夫と彫刻の佐藤忠良、焼き物の樂 吉左衛門が常設展示されていました。せっかく来たのだから全部見て回ることにしました。
最初に入った平山郁夫展では有名な「楼蘭の朝」や「薬師寺夕べ」シルクロードのシリーズなど、よく目にする絵が惜しみなく飾られていて驚きました。どれも色が美しく、平和なハーモニーに彩られていて感動しました。
私はほんの一時、彫塑をかじったことがあるので、他の人よりは熱心に佐藤忠良の部屋をじっくり見て歩きました。ダイナミックな彫塑ではなく、可憐な感じのする優しい像が印象的でした。
北斎のこんなにたくさんの浮世絵に接するのは初めてでした。どんな構図の中にも、必ず富士があって驚かされました。富士と江戸時代の風俗を描きながら、彼の絵は永遠に至ろうとしているかのようです。
葛飾北斎を見終わると、2時間ほどが経っていて、さすがに疲れを感じました。
十五代、樂 吉左衛門の焼き物は別棟にありました。陶芸はさっぱりわかりませんが、せっかくだから覗いてみることにしました。
薄暗がりの中にひろがったスペースは、これから現代音楽や演劇が催されるステージを思わせ、建物全体がまた一つの芸術品のように、凛として存在していました。
ひんやりとした現代の蔵の中のような空間を歩きながら、何となくキース・ジャレットのソロピアノが私の中で流れていました。
この記事へのコメント
tempo
mwainfo
品専用の運搬車まで所有すると聞いて、この企業の経営姿勢を見直し
ました。
ここでは、キース・ジャレットがお似合いですか。
FUCKINTOSH66
お写真を拝見するに、内装も完成度が高そうですね。照明も暗めで効果的、海外の美術館のよう。作品が「そこに在る」という感じで、とても映えて見えます。キース・ジャレット、似合いそう♪
空兵ーS
広島県瀬戸田町・・・同郷でしたか。
郷土の誇りですね。
以前、NHKで平山郁夫さんのシルクロードのシリーズをやっていたような気がします。美術家では知名度高い方だと思うのですが。有名な芸術家よりお笑いタレントの方が名前が売れているご時世ですから仕方ないですね。
空兵ーS
飛脚のマークのイメージとはずいぶん違いました。
むしろ公共の美術館より、サービス、コンセプト、ポリシー全てに渡って優れていたように感じました。利益の還元の仕方としては、かなり優れたやり方だなと思いました。
とくに樂 吉左衛門が展示されていた別棟は、キースのソロピアノが流れていたら、ぴったりだなぁと思わされる空間でした。
空兵ーS
佐川美術館、出来てもう10年になるんだそうです。出来た当時そんなに話題だったのですか。同じ県内にいながら今まで知りませんでした。館内の一角に竹中工務店と、賞のことを書いたコーナーがありました。
とくに樂 吉左衛門が展示されていた別棟は独特の雰囲気がありましたね。光の演出が劇場のようでした。
展示されている焼き物の背面に鏡が配されて、焼き物の反対側も見ることが出来るように工夫されていたりしました。
8月末にはコンサートも催されたそうですが、すっかり忘れていました。コンサートや現代演劇も似合いそうな空間でしたね。